こんにちは。Day1 キャリア です。
本記事は「コンサルデータバンク」に在籍するコンサルタントによる寄稿です。
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コラムをご覧いただきありがとうございます。
マーケティング視点での採用コンサルタント、ぐってぃーと申します。
こういったメディアへの寄稿も、今回が初めてですが、温かく見守っていただけると嬉しいです。
早速ですが、採用に関するよくある間違い「1選」を解説させていただきます。
なぜたった1つなのか。
それは、本当に多くの企業が間違えているから、そしてこの認識が変われば劇的に採用に関する見方が変わるからです。
正直、コンサルタントとして出し惜しみしたい内容でもあるのですが、寄稿させていただく以上は皆さんのお役に立ちたい、そう思って執筆しております。(もし記事にお気づきの点、並びに私に相談したいことなどがあれば、コンサルデータバンクに登録しておりますので、お気軽にメッセージくださいね!)
その前に、簡単に自己紹介を。
私は、かつて就職情報(求人広告)会社に勤務しており、主に求人メディアの販売に従事、その後は企業向けのマーケティング担当として、多くの企業様の採用活動に関わり、支援してまいりました。
支援させていただいた企業は、少ない予算でも採用活動に成功されている企業、また逆に多額の予算を割いているが採用活動に苦戦している企業等、本当に様々でしたが、多くの企業の共通項を探しているうちに、それぞれの特徴が見えてきました。
正直、求人メディアでお金をいただいている身としてどうなのかとも思いつつ、本当に「もったいない」お金の使い方をされている企業様に、あえて100万円レベルの予算減を提案したこともあります。
今回お伝えする内容は、場合によってはそれくらいインパクトのある内容ではないかと自負しております。
それでは早速、本題に入りましょう!
今回の記事は、以下のような課題をお持ちの企業様ならびに、そうした企業を支援するコンサルタントの皆様には、ぜひお読みいただきたい内容となっております。
- 求人広告会社から提案を受け、その通り求人メディアに掲載しても、合う人材からの応募がほとんどない
- 広告では、⼗分に職場の魅⼒が伝わっていないと感じる
- ⼈材募集の原稿で何を書いたらよいかわからない
- 応募してきた人材が自社とマッチしない
- ⼈材紹介会社から紹介される⼈材が自社と合わない
応募は多ければ多いほどいい、は間違い?
皆さんは、「応募は多ければ多いほどいい」とお考えではありませんか?
これは採用担当者だけでなく、多くの採用コンサルタントならびに求人メディアを運営する広告会社も陥りがちな間違いです。
なぜこれが間違いかわかりますか?
あえて申し上げるのであれば、新しい工場の立ち上げや派遣業を運営していて、とにもかくにも人を雇う必要があるといった状況であれば、とにかく応募数を増やすことが戦略になります。
しかし、「採用した人材を大切にし、長く働いてもらいたい」「自社でしっかり貢献し、その後のキャリアのステップにしてもらいたい」とお考えであれば、この認識を改めない限り、いつまでたってもより良いマッチングを実現することができません。
では、想像してみてください。これは、本当によくある話です。
あなたの企業で社員が産休に入るため、総務で働いていただける人材を急遽募集することになりました。
自社の総務の仕事は、正直それなりに激務で、特に決算前後の繁忙期は連日夜9時ごろまで残業してもらうこともあります。
とはいえ、時期も時期なので新卒採用と並行して実施しなければならず、社内のリソースもできるだけ最小限に抑えたい。
そんなときに、求人を掲載したところ1週間で20人から応募がありました。
一見するととてもいい話かもしれません。
しかし、採用担当者の立場で考えると、20人の書類に目を通すだけでも大変なのに、面接でそれぞれ30分から1時間ほど時間がとられる・・・そして、その20人のほとんどが「残業はしたくない」「営業として従事していたが正直疲れたので、楽な事務職を探している」といった人材ばかりであれば・・・
それよりも、1週間で1人しか応募がなかったとしても、その1人が「多少の残業は大丈夫」で、「社外の人との折衝は得意ではないが、仕事には意欲的、前職では業務改善に携わってきて上司には物怖じせずに提案できる」ような方であればどうでしょう。
自社で活躍してくれるだけでなく、もしかしたら、激務となっている今の状況を変えてくれるかもしれません。
いうまでもなく、採用担当者の手間は激減し、無駄な仕事が減り、その分新卒採用に力を注ぐことができます。
もうお判りでしょうか。
この事例からも、企業への応募は1人(もしくは採用予定人数)で、「たった1人のマッチする人材をいかに惹きつけるか」が採用を考えるうえで必要な考え方ということです。
そうであれば、採用コンサルタントや求人メディアを運営する広告会社がなぜ「応募数」にこだわった提案をするのかについて、解説していきます。
なぜコンサルタントやメディア「応募数」にこだわった提案をするのか?
何を隠そう、私も駆け出しのころは上司からそのように提案するようアドバイスを受けていたので、気持ちはよくわかります。
「採用数」にコミットした提案では、成果が「採用に成功したか否か」、つまり「0か1か」になります。
商談時にしっかりと目線合わせしていたつもりが、いざ採用活動を始めた際に企業によって採用要件が非常に高く設定された場合や、企業都合で面接設定日時が延びてしまう、なんてこともありえます。
そうした理由などにより面接キャンセルとなり、本来採れそうであった人材を採りこぼしてしまった場合も、「採用数」は0になります。
万が一採用までつながらなかった場合、採用コンサルタントや就職情報会社は、その後の提案で苦しい立場に立たされることになります。
こういった言い方が適切かはわかりませんが、「応募数」で期待値を握っておけば、あればまだ取り返しがつきます。
応募数は、原稿で魅力を訴求することや、場合によっては写真を差し替えるだけでも、簡単に増やすことができます。(簡単に増やせる、と言うとやや語弊がありますが、0か1かの採用数で勝負するよりは、まだどうにでもなる、と表現すれば伝わりますでしょうか。)
また、他の転職サイトとの比較など、応募数であれば比較検証しやすいという点も挙げられます。
併せて、応募数が多ければ多いほど、より良い人材に会える可能性が高まると考えられることも本当に多いです。
「数打ちゃあたる」ではないですが、そのように考えていらっしゃる経営者や人事の方は多く、その証拠に毎年就職情報会社が発表する「就職人気ランキング」の結果も多くの経営者・人事担当者の注目を集めています。
その仮説は間違っていませんが、採用担当者のリソースは有限ですので、結局は疲弊してしまいます。
徹底的なペルソナ設定を
考え方はわかったけど、世の中そんなうまくいくはずがない。とにかく応募が来ないと不安だ。
その気持ちは痛いほどわかります。
ですが、応募が来ないからと言って、耳障りのいい「福利厚生」や「風通し」「待遇・給与」を強調してPRし、コストをかけてスカウトを配信しても、結局応募してきた人材とのミスマッチに悩むことになります。(それに、アピールポイントがどこも同じになってしまいます。)
それであれば、最初から喉から手が出るほど欲しい人材のみから応募が来るように、求人原稿やスカウトメールの内容を見直し、徹底的にターゲットを絞って採用活動をするべきではないかということです。
そして、そのターゲットの絞り込みに「ペルソナ」が効果を発揮します。
ペルソナとは、サービス・商品の典型的なユーザー像のことで、主にマーケティングにおいて活用される概念ですが、この考え方を採用活動にも活かしませんか、ということをここで提案させていただきます。
ペルソナ設定においては、年齢、性別、居住地、職業、役職、年収、趣味、特技、価値観、家族構成、生い立ち、休日の過ごし方、ライフスタイル…などリアリティのある詳細な情報を設定していきます。
項目が細かくて驚かれた方も多いかもしれませんが、実際にその人物が実在しているかと思うレベルまで落とし込むことがポイントです。
なぜ、ここまで絞り込む必要があるのでしょうか。
それは、採用した人材の将来の活躍可能性を高めるため、ひいてはミスマッチを減らすため、そして余計なコストをかけないためです。
多くの企業では、採用ターゲットを「25~35歳の男性」「40歳前後のマネージャー経験者」くらいのあいまいな条件で提示することが多いですが、例えば前者であれば650万人以上の方が採用のターゲットとなりえます。
いうまでもなく、それぞれ考え方も違えば得意・不得意も違います。
そのなかで、「自社の理念・カルチャーとマッチし、既存の社員にもスムーズに溶け込め、提供する条件に納得して入社し、中長期的に自社の戦力として働いてくれそうだ」と期待を持てる人材は、多く見積もっても1~2割ほどではないでしょうか。
さらに転職意欲の高い人材を高めに半分と見積もっても、「25~35歳の男性」を無作為に抽出して採用に繋がる確率は5~10%といえるでしょう。(実際はもっと低いです!)
もうお気づきかと思いますが、あいまいな条件で採用活動に取り組んでしまうと、その労力ならびにコストの90%以上が無駄になる、ということです。
それであれば、最初から普段の2倍、3倍と手間をかけてでも、丁寧なペルソナ設定を行い、確実に自社で活躍いただけそうな人材をピンポイントでスカウトする、ならびにそういった人材からしか応募が来ないようにすることで、最終的には労力もコストも削減できるのです。
そうはいっても、コラムを読むだけではなかなかイメージしづらいかもしれませんので、ヒントを2つ記しておきます。
・今、活躍している人材の「共通項」はなにか
・自社で腰を据えて働いていただくのに「絶対に譲れない条件」はなにか
これらを考えてみるだけでも随分変わりますので、ぜひ試してみてください。
採用はマーケティングだ!
先ほどからターゲットを解像度高く設定し、そのターゲット1人が応募してくる仕組みを作りましょう、と提言しておりますが、これらはすべてマーケティングと同じ考えです(そもそもペルソナ分析自体がマーケティング用語ということになりますが…)。
なので、採用担当者はぜひマーケティングを学んでいただき、その考え方を採用活動に活かしていただきたい、というのがまとめになります。
実は、マーケティングという概念は皆さんの日常生活にありふれており、皆さんは知らず知らずのうちにマーケターの戦略に沿った行動をとっているのです。
例えば、スマートフォンはどのメーカーのものを利用されていますか?大半がiPhoneと答えるでしょう。
実は、日本人のスマートフォンユーザーの3分の2が、アップル社のiPhoneを利用しているという調査結果があります。(実は、世界のなかでも日本が突出している…という話は別に譲ります。)
では、iPhoneが他機種と比べて突出して機能的なのかというと、そうではありません。(敬虔なソニー信者の私は、iPhoneを使うと他デバイスとの連動が煩わしいと思うことすらあります。)
ですが、こうしてiPhoneが順調にシェアを伸ばしているのは、細かいことは抜きにして「シンプルでわかりやすい」ことがあげられると思います。
これは、Apple社の優れたマーケティング戦略で、例えば、基本的にiPhoneは、13の次は14…といった具合に、老脈男女誰もがわかりやすいのが特徴です。
また、2023年の今、iPhone8を使っていると「なんとなく古い」みたいな印象を与え、そうしたきっかけもまた新機種への買い替え(=リピート)を促しています。
一方で、百貨店はどうでしょうか。
「富裕層」をターゲットとし、接客サービスやその振る舞いは洗練されておりますし、入居するブランドも商品も、洗練されたものばかりが並びます。百貨店の飲食店コーナーに短時間で食事を済ませられる牛丼チェーンや、ニンニクが強く効いた超大盛ラーメン店が入ることは、まずないでしょう。
そして、そんなイメージが強くあるからこそ、皆さんも百貨店に行く際には、いつも以上に服装や化粧に気を遣いませんか。ジャージで立ち入るのはかなり勇気が要ることでしょう。
「大衆」をターゲットにするのか、「限られた層」をターゲットとして絞るのか。
どちらも企業のマーケティング戦略としては正解ですが、こと採用活動においては、求職者のほとんどは「たった1社」との出会いを探しておりますし、当然企業の採用数も採用担当者のリソースも有限です。
だからこそ、本日お伝えした考え方を参考に、よりよい採用活動を模索いただければと思います。
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