明日から使える!マーケティング効果測定のためのフレームワーク

Day1 Career

こんにちは。Day1 キャリア です。

今回は、立案したマーケティング戦略を実行するにあたり、いかにその効果を測定し改善していくかをお教えします。これは私がコンサルタントとして働いている中で実際に使っているフレームワークです。

マーケティングは実施して終わりではなく、その効果測定をしてからが本番です。

・マーケティング効果ってどうやって測ればいいの・・・
・マーケティングってお金ばかりかかって本当に効果があるのか分からない・・・

とお悩みのあなた!この記事さえ読めば明日からあなたも立派なマーケターの仲間入りです。

そもそもマーケティングってどうやって考えればいいのかわからない。という方は以下記事を読んでから本記事を読むことをお勧めします。

Day1 Career明日から使える!マーケティング戦略立案のためのフレームワーク
https://day1career.com/business-marketing-strategy/

 

それでは解説していきます!

この記事について

  • マーケティングの効果測定の実践方法が身につきます。
  • 今までのマーケティングを見直すきっかけを与えます。
  • たった3分で読めます。
  • より知識を深めるためのtipsを最後に紹介しています。

こんな方は必ず読んでください

  • 今行なっているマーケティングが正しく効果を産んでいるのかわからない方。
  • いつかは起業したいと考えている方。
  • 新しくマーケティング部門に配属された方。

この記事の信頼性

  • 実際に筆者はITベンチャー企業で数々の新規事業をこのやり方でスケールさせてきました。また独立後も、このやり方で新規事業をスケールさせ続けています。

それでは解説していきます。

なぜ効果測定が必要なのか

具体的な効果測定指標を見ていく前に、そもそもなぜマーケティング効果測定が必要なのか、を確認しておきます。

目的は大きく2点あり、

・実施前のマーケティング施策の投資判断をするため
・実施後のマーケティング施策の継続/撤退判断をするため

です。

マーケティング施策はそれなりに費用がかかります。TVCMを出すのも、Web広告を出すのもお金が必要です。

そのお金は、個人であれば自分の会社から、会社員であれば会社のお金が使われます。
“効果があるか分からないけどとりあえず1000万円で広告出したいです!” と言われてあなたはお金を出しますでしょうか。(私は出しません)
この広告を打てば、年間500万円増えるので2.3年で投資回収が出来ます!
と言われた方がお金を出しやすいですよね。

また実際にマーケティング施策を実施している最中も”思った通りに効果が出ているのか”をトラッキングし、想定より効果が出ていない場合はその原因を追求し、施策を修正しなくてはなりません。

もしくは修正出来ないと判断し、早めに撤退すべきかもしれません。
このように無駄なお金を垂れ流さないために効果測定は重要なのです。

では実際にどのような指標を見ていくべきなのでしょうか。
効果測定のための指標は上述の2つの目的別に大別され、

・財務指標
・非財務指標

に分かれます。
それぞれはマーケティング施策のPDCAサイクルの中で以下のように機能します。

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4つのマーケティング財務指標

マーケティング施策の投資判断をするためには最低限以下3つの指標を見る必要があります。それが以下3つです。

・NPV(正味現在価値)
・IRR(内部収益率)
・投資回収期間
・CLTV(顧客生涯価値)

一つ一つ見ていきます。

NPV(正味現在価値)

正味現在価値とは、マーケティング施策を実施することで将来得られる価値(売上)を現在の価値に変換したもの(現在価値)から費用を差し引いたものです。

現在の価値、というのは例えばTVCMを打つことで1年後100万円の売上増大が見込めるとします。その場合の現在価値は、100万円 / (1 + r) となります。

ここでいう r は割引率 と呼ばれ、1年後にもらえる100万円を現在の価値に値引くための比率と言えます。
1年後に100万円もらえるのと今95万円もらえるのが同じくらい嬉しいのであれば、あなたの割引率は5% ということになります。

この割引率は遠い未来にもらえる100万円になるほど高くなっていく傾向があり、現在価値は以下の式で表されます。

PV(現在価値)= 1年後の売上増加分 / (1 + r) + 2年後の売上増加分 / (1 + r^2) + 3年後の売上増加分 / (1 + r^3)

また正味現在価値は、

NPV(正味現在価値)= PV(現在価値)ー 費用

で表されます。

そのマーケティング施策が本当に儲かるのか、を判断するためには上記手順でまずPV(現在価値)を求め、その後マーケティングにかかる総費用で引き込むことでNPV(正味現在価値)を求めます。

一般的にこのNPV(正味現在価値)が0以上であればその投資は儲かる、と言えるわけです。

IRR(内部収益率)

内部収益率とはマーケティング施策を実施した場合に想定される利回りです。例えばあるマーケティング施策により1年後100万円儲かり、かつ内部収益率が25%だった場合、その施策により2年後は125万円儲かります。

この内部収益率は、実は先ほど出てきたNPV = 0 となる場合の、r(割引率)の値に等しくなります。(面白いですよね。)

つまり内部収益率が割引率を上回っていれば、そのマーケティング施策は儲かる、ということになります。

IRR(内部収益率)=キャンペーンや施策を実施する場合の投資利回り

投資回収期間

投資回収期間は名前からイメージできると思いますが、その名の通り、投資を何年間で回収できるか、を見る指標です。

例えばマーケティング施策に100万円かけたとして、それにより売上増加が毎年20万円あったとすると、このマーケティング施策の投資回収期間は5年間、ということになります。

この指標を見ることで、この施策がどれくらいでペイするのか、を判断できるようになります。

投資回収期間 = 投じた累計支出と同額の累計利益を稼ぐまでにかかる期間

以上が、マーケティング施策を実現する前に施策の評価をするための4つの財務指標の内の3つです。
これら財務指標は、マーケティング施策だけでなくあらゆる投資の評価をする際に有効ですので、是非覚えておいて下さい。

これら3つの指標の使い方をマスターしたい!より詳しく知りたい!という方は以下書籍がオススメですので是非読んでみて下さい!


CLTV(顧客生涯価値)

マーケティング施策を実施する前に施策の評価をするための最後の財務指標はCLTV(顧客生涯価値)です。
CLTVとは自社もしくは自社製品/サービスの利益に対して顧客が一生涯かけて貢献する価値の量です。

例えば私は毎日のようにコカコーラを飲んでいるのですが、私のコカコーラ社に対するCLTVはえげつないほど高いはずです。(何か還元して欲しいですね。)

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このCLTVは超重要で、現代のマーケティングでは決して無視できない指標です。

今までは作った製品やサービスを売れば儲かる供給過多の時代でした。そのような時代は売り切り型のビジネスモデルをとる企業が多かったのではないかと思います。売り切り型のビジネスモデルとは簡単に言うと一回製品やサービスを売った後は、顧客と消費者の関係はそこで終わり、というビジネスモデルです。

ただ現代では製品やサービスの供給が多くなっており、顧客はすでに満足している状況です。そのような状況ではこれまでほど新しい物を求める顧客はいなくなります。なので企業は、1顧客との関係性を極力長く太く維持したいと考え出てきた考え方がサブスク型のビジネスモデルです。

サブスク型ビジネスモデルでは一度売って終わりではなく、継続して顧客と企業の関係性が続きます。

例えばexcelやpowerpointを販売するMicrosoftもかつてはOffice製品の売り切りモデルを採用していましたが収支が悪化しOffice360のサブスクモデルに移行しています。

CLTVは以下式で表すことが出来ます。

CLTV = -AC + Σ (Mn – Cn) P^n / (1 + r )^n

なんか難しそうだ。。。と思った方、ご安心ください。

ここでは顧客毎に自社にもたらす利益を一生涯にかけて計算しているんだ、くらいに思ってください。

参考までに各式の項目を説明すると、

AC:Acquisition Costの略。新規顧客を獲得するためにかかる費用です。
Mn:n期において当該顧客によってもたらされる利益。
Cn:n期に置いて当該顧客の維持にかかるマーケティング等の費用。
P:当該顧客がその年に取引を継続する確率。
r:割引率。将来の価値を現在価値に割り引く。

 

以上がマーケティング施策を実現する前に投資判断をするための4つの財務指標でした。
最低限これら4つの指標を事前に計算しておき、投資の妥当性を判断しておくことで”無駄なマーケティング施策”をある程度防ぐことが出来ます。

ある程度有効そうなマーケティング施策を打った後も油断してはいられません。市場は常に変化するものであり、有効だと思ったマーケティング施策も来月には無駄なものになってしまっているかもしれません。

そのような事態を防ぐために常にマーケティング施策は効果測定する必要があります。そのための4つの重要指標を次に紹介します。

マーケティング非財務指標

続いてマーケティング施策の効果測定のための4つの重要指標を紹介します。最低限この4つは押さえておく必要があり、この4つの数値は常に終えるような仕組みを作りましょう。その指標とは以下4つです。

・ブランド認知率
・お試し数
・オファー応諾率
・解約率

これらは顧客の購買行動モデル(認知➡︎比較検討/評価➡︎トライアル➡︎ロイヤリティ)のフェーズ毎に設定されるもので、フェーズ毎に有効なマーケティング施策毎にこれらの指標を評価します。

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ブランド認知率

まずは顧客に自分のブランド/製品がどれくらい認知されているか、を定量的に図る必要があります。その認知率でこの後のマーケティング施策が変わってくることでしょう。

このブランド認知率を図るためにもっとも簡単な方法は、一定数以上の顧客に “特定の製品グループをお題で与えた時に頭に思い浮かぶブランド/製品を3つあげてもらう” ことでそのブランド/製品の認知度を測れるといいます。

例えば “おいしい水” といった場合の、”エビアン”、”いろはす”、”クリスタルカイザー” と言ったところです。
この調査でマーケティング施策前のブランド認知率を測り、マーケティング施策後にこの認知率がどう変化したかをトラッキングすることで ”認知フェーズ” のマーケティング効果測定が可能になります。

一方でこの調査には結果が出るまで一定数の時間がかかってしまい、マーケティング施策を実施している最中の施策改善を行うにはややスピード感がありません。

マーケティング施策はデータに基づきクイックに改善を繰り返す必要があり、マーケティング施策により認知を獲得できているかをリアルタイムで知る必要があります。

その際に用いる方法が “urlのパーソナライズ化” です。

これは広告を配信する媒体毎にurlを変えることでどの媒体からの認知が獲得できていて、どの媒体からの認知が獲得できていないか、を可視化することが可能です。

認知が獲得できていない媒体では、なぜ認知が獲得できていないかを分析し即座に改善する必要があります。

ブランド認知 = 商品やサービスの想起

お試し数

あなたはあるブランドや製品の存在を認知しました。その後どういう行動をとりますか?すぐにその製品を買う人は多くないと思います。(大富豪とかは別です。(切望))

一般的に消費者は、製品を認知した後にその製品が本当に良いものなのかを知るために”比較”をします。
比較対象は同様の製品グループに属する他社製品だったり、自分が今まで使っていた製品だったりします。

我々マーケターはこの”比較”のプロセスを顧客に踏んでもらうためにあらゆるマーケティング施策を取るのですが、このフェーズでのマーケティング施策の効果を測定するにはどうしたら良いのでしょうか。

答えは “お試し数” を図ることです。

お試し数は将来の売上に繋がる先行指標であり、比較検討/評価 フェーズに置いて最も重要な指標と言えます。

裏を返すと、打つべきマーケティングも “お試し” を促すマーケティングであるべきです。
例えば無名の水を売りたい時に、”今なら10本セットで20% OFF!” とするよりも、”会員登録してくれたら水を3本無料で送ります!” の方がお試ししてもらえる確率が上がります。

そもそも無名の水をいきなり10本買う人はなかなかいないですよね。そういうことです。

お試し = 購入前の顧客による商品のお試し使用

オファー応諾率

製品を認知し、評価のために試しに使って見ました。どうやら良さそうです。次は実際に製品を購入するフェーズです。

顧客が実際に製品を購入してくれたかどうかは “オファー応諾率” を使って効果測定をします。
簡単にいうと何人が買ってくれたか、を可視化する指標なのですがそれだけではその後の施策改善をするのに不十分なので、購入率をオファー毎に分けて評価します。

例えばDMを100人に送付し、その内3人が実際に購入してくれたのなら、DMのオファー応諾率は3%です。一方で製品紹介ページのPV(閲覧数)が1000PVでそこからの購入が50人だった場合、製品紹介ページのPVは5%となり、DMの送付よりも有効だと判断できます。この場合、DM送付と製品紹介ページ運営にかかる費用とを比較し財務的に施策の評価も可能です。(前述)

このようにオファー毎に応諾率を測ることで、マーケティング施策個別の効果測定が可能になるのです。

オファー応諾率 = マーケティング上のオファーに応じる顧客の比率

解約率

製品も無事買ってもらいました。でも一回きりではなく継続して買ってもらいたいですよね。顧客が継続的に製品やブランドを購買する状況を “顧客ロイヤリティが高い” と表現しますが、その顧客ロイヤリティを測るための指標が “解約率” です。

解約率とは既存の顧客のうち、商品やサービスの購入を辞めてしまう顧客の比率です。
例えば今月の解約率が先月と比較し高い場合は何らかの原因があり、顧客ロイヤリティフェーズのマーケティング施策の修正が必要だということです。

製品がNetflix等のようにサブスク型の場合は解約率を把握しやすいですが、水等の消費財の場合は解約率を測りずらいですよね。その場合は “顧客満足度評価” を使い顧客ロイヤリティを測ります。

“顧客満足度評価” とはシンプルに、”その製品・サービスを満足しているか” を測る指標です。測り方は色々あるのですが最も有効だと言われているのは”製品の紹介率” です。
その製品に満足していれば他人にも勧めますよね。

製品の紹介を促すような施策(紹介キャンペーン等)を行い、製品紹介率を測ることで顧客ロイヤリティをトラッキングすることが可能です。

解約率 = 既存顧客の中で、商品やサービスの購買を中止する人の割合。


以上がマーケティング施策の効果測定をするために最低限押さえておきたい重要指標4つでした。

まずはこの4つをトラッキングできるための仕組みを考え、施策を打った後も継続的に監視し、これら数値に基づいて施策を改善していきましょう!

最後に

以上がマーケティング施策の投資判断/効果測定に必要な8つの重要指標でした。最低限この8つを抑えることでお金を無駄に垂れ流すマーケティング施策とは卒業できます。

ただここで紹介した8つの指標は基本的な指標であり、マーケティング施策の性質によっては指標を追加していく必要があります。

またこれら指標は私がコンサル経験で実際に使ってきた指標ですが、より詳しい解説を読みたい!効果測定のやり方により詳しくなり早く一流マーケーターになりたい!という方は以下2つの書籍をお勧めします。

データドリブンマーケティング研究の専門家でノースウェスタン大学教授のマーク・ジェフリー教授が書いた本で、あのAmazonのジェフ・ベソスが愛用する一冊です。一読の価値ありです。

USJをV字回復させた伝説的マーケターである森岡毅さんの著籍であるこの本は、「え。本当にこの値段で後悔していいの??」というほど貴重なマーケティングノウハウが満載です。読まないと損します。

以上になります。
このようなマーケティング施策の効果測定にはITのスキルは必須です。
概念はわかったけど実際に効果測定の仕組みを社内に導入するにはどうすればいいの??とお悩みの方、是非ご相談ください!
簡単なデータ分析から大規模なビッグデータ分析まで、データ分析の導入のことならどんなアドバイスも実際の導入支援も可能です。マーケティング戦略を立案する上でのアドバイスも行なっていますので、まずは是非お気軽にご相談ください!

相談は無料です。

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それでは!