こんにちは。Day1 キャリア です。
現在、AI(Artificial Intelligence)はアメリカを中心に世界規模で研究が行われ、急速に精度の向上が進んでいます。
第3次AIブームの今、大きな脚光を浴びている職種の一つに「AIエンジニア」があります。
IT人材の不足が深刻化する中で、特に求められているのがこのAIエンジニアです。
実際に、経済産業省が発表したIT人材需給に関するデータでは、IT人材を
①AI、IoT、ビックデータ等の先端技術を利活用する「先端IT人材」
②「従来型IT人材」
という2タイプに区分した上で試算されており、2030年に最大約79万人不足するIT人材のうち、およそ7割(約55万人)が「先端IT人材(=AIエンジニア)」となっています。
引用:経済産業省 IT人材需給に関する調査 2019年3月
新しいビジネスの担い手として需要が急激に高まる中で、
- AIエンジニアに興味がある
- AIエンジニアとして活躍したい
という方が増えています。
しかし、
- どんな仕事に従事するのか
- どんなスキルが必要なのか
- どんなステップを歩めば良いのか
などの疑問から、実際に行動に踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、AIエンジニアの実際の仕事内容、そして必要なスキルについて解説していきます。
転職市場で今最も需要が高まっている職種ですので、ぜひ最後まで読んでみてください。
この記事について
- AIエンジニアの仕事内容について学べます。
- AIエンジニアになるために必要なスキルが分かります。
- たった3分で読めます。
こんな方は必ず読んでください
- AIエンジニアに興味がある方。
- AIエンジニアについて具体的な仕事内容のイメージがついていない方。
- AIエンジニアへの転職を考えている方。
この記事の信頼性
- 長年IT業界でエンジニア/コンサルタントとして働いてきた筆者による考察です。
- エンジニアへの転職支援を行っているからこそ市場動向を把握しています。
- 実際に募集されている案件を例にあげています。
それでは解説していきます。
AIエンジニアの仕事内容
AIエンジニアはどのような仕事をしているのでしょうか。
様々な職業を紹介している厚生労働省のWebサイト『jobtag』では、Aiエンジニアを以下のように定義しています。
AI(人工知能)の様々な分野での活用に関して研究開発を行う。
ディープラーニング(深層学習)などの手法により、アルゴリズム(問題解決の手順)を考えてシステムとして実現するエンジニアである。
つまり、AIを活用したビジネス課題解決のためのシステム設計、開発、運用をしています。
AIシステムを開発するために「ディープラーニング(深層学習 / Deep Learning)」というデータ分析技術を用いたり、複雑なアルゴリズムを駆使してビジネスニーズに適応するシステムの開発を行います。
しかしこれだけだと、イメージが付きにくいかと思います。
そこで、
- 具体的にどんな案件を扱っているのか
- 他の職種とどう違うのか
という観点で見ていきましょう。
具体的な案件例
それでは実際に業務委託で募集されているAIエンジニアの案件を見てみましょう。
過去に募集されていた内容を一部編集し、記載しています。
=====
業務内容
AIサービスの開発エンジニア(Python)
- エンドユーザー改善要望をソリューションに結びつけるプロセス/モデルを作ること、その実施を主幹するエンジニア:テクノロジストです。 主に、JavaやPythonを使用したWebマーケティングシステム、AI/機械学習を応用した先進的な判別・予測システムを、企画提案から設計・開発まで一貫して行います。当社自身がオーナーとなって提供する自主開発サービスと、お客様からの委託サービス/システム開発の両方があります。
- 開発手法:アジャイル
- 開発環境:java / Python
=====
この案件ではJavaやPythonを使用したAIシステムの開発全般を担当するAIエンジニアが募集されています。
AIシステムの開発には、以下4つのステップがあります。
⒈ 現状の課題を解決するためにどのようなAIを開発すべきかを構想する「構想フェーズ」
⒉ 構想したAIシステムが実現可能かを検証する「PoCフェーズ(proof of Concept)」
⒊ 実際にAIシステムの開発と実装をおこなう「実装フェーズ」
⒋ 実装したAIシステムの安定的稼働のための保守や課題解決の目標達成に向けてPDCAサイクルを回す「運用フェーズ」
AIエンジニアは、企業のニーズに対して
- 「AIを活用してどんなことができるのか」
- 「AIシステム開発のために何をしていくべきなのか」
- 「実際にどんな技術を取り入れていくべきなのか」
といった、AIシステムの構想〜運用に至る全てのステップに携わる職種なのです。
各職種との違い
続いてAIエンジニアと、よく比較される職種との違いを見ていきます。
機械学習エンジニア
機械学習エンジニアは、AI技術の中でも「機械学習」に特化したプログラム分野を担当する職種です。
機械学習とは、プロジェクトに必要なデータをコンピューターに膨大に読み込ませてパターンを学習させ、未知のデータを判別するための規則性や特徴を獲得させることです。
いわば、「データ解析技術」の総称です。
この技術はAI開発において特に重要であるため、「AI = 機械学習」という認識により、機械学習エンジニアはAIエンジニアと同義で使われていることも多いです。
AIシステムの構想段階から携わるAIエンジニアに比べて、複雑なアルゴリズムを駆使する機械学習のプロフェッショナルとして高度な技術が求められる職種といえます。
データサイエンティスト
データサイエンティストは、AI技術の中でも「データ解析」の分野に特化して課題解決を行う職種です。
AIエンジニアと共通する部分も多くありますが、データサイエンティストはデータの活用を通した企業の課題解決を主な業務としています。
サービス向上に役立つ情報分析〜課題解決の提案までを行うため、IT系職種のなかでもコンサルティング要素の強い職種であるといえます。
システムエンジニア(SE)
システムエンジニアは、クライアントの要望から仕様を決定し、システムを実現するための上流工程を担う職種です。
要件定義を行い、実際にプロジェクトを推進(マネジメント)することが求められます。
AIエンジニアも要件定義やプロジェクト推進など似たような業務を行いますが、どのようなシステムを開発するかという点が大きく異なります。
システムエンジニアは「Aに対してBを返す」ようなシステムを開発しますが、AIエンジニアは「Aに対してB〜Zの中で最も適したものを考えるAI」という観点でのシステム開発が求められます。
そのため、AIエンジニアとは必要な知識や仕事内容が異なります。
AIエンジニアの年収
厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」によると、AIエンジニアの令和3年の平均年収は558.8万円です。
日本人の平均年収が403万円、一般的なITエンジニアが455万円なので、比較的収入の高い職種といえます。
特に近年、AIやデータサイエンス等の高いデジタルスキルを持つ新卒人材に対して、1,000万円以上を提示する企業もみられる様になっています。
企業名 | 対象者 |
NEC | AIなどの分野で大学時代の論文が高い評価を得た新卒者を対象に、年収1,000万円以上を提示。 |
DeNA | AIシステム部独自の人事制度として、年収600〜1,000万円を可能に。新卒も中途も区別せず適用。 |
引用:経済産業省 我が国におけるIT人材の動向 令和3年2月4日
AIエンジニアを含むIT人材の育成強化は国としての取り組みがされており、今後さらに需要が高まっていく将来性のある職種といえます。
AIエンジニアに必要なスキル・知識・経験
それでは次に、AIエンジニアとして活躍する上で必要となるスキルを見ていきます。
プログラミングに関する知識
AIシステム開発時やデータ活用時、さらにAIシステムを用いた課題解決の提案の際にも、プログラミング知識が必要です。
多数あるプログラミング言語の中でも、AIシステムの開発でよく使用されるプログラミング言語は以下の4つです。
⒈ Python
AI・機械学習、データ解析ツール、Webアプリなどが開発できます。
Numpyなどの科学計算分野のライブラリが豊富なため、AI・機械学習に最適なプログラミング言語といわれています。
⒉ R
統計解析やデータ分析に特化したオープンソースのプログラミング言語です。
パッケージが豊富なため、シンプルなコードで複雑な統計計算が可能です。
⒊ C++
ビックデータや機械学習といった膨大なデータの処理速度が高速であり、他の言語と組み合わせて使用されることが多い言語です。
⒋ Julia
2018年にver.1.0が公開された、比較的モダンな言語です。
複雑な計算が高速でできること、シンプルな構文のため読み書きがしやすいという特性があり、今後利用者がの増加が見込まれる言語です。
この他にもAIの開発現場では様々なプログラミング言語が使用されています。
基本的なプログラミング言語の知識は必須となりますので、AIエンジニアになりたいと思っている方はまず習得すべき知識です。
数学の知識
AIの仕組みには、統計学や微分積分、線形代数といった様々な数学的知識が使われています。
高い精度のAIシステムを開発するには、機械学習のアルゴリズムを理解していることが前提となるため、AIエンジニアにとって持っておくべき知識となります。
機械学習に関する知識と技術
機械学習アルゴリズムは、AIシステム開発の根幹ともいえます。
そのため、機械学習に関する知識と実装や開発ができる技術が必要です。
また、AIアルゴリズムの設計の際にも、正しい機械学習の知識が求められます。
データベース運用の知識
AIエンジニアは、機械学習においてビックデータを活用する際に、データベース運用に関する知識が重要になります。
データベースを運用するためには、MySqlやPostgre SQL、Oracleといったデータベース言語を使用してデータベース管理システム(DBMS:Database Management System)を扱います。
つまり、前述のプログラミング言語に加え、使用しているDBMSに合わせたデータベース言語の習得も必須の知識といえます。
ビジネスに関する知見
AIを活用したビジネス課題解決が仕事であるAIエンジニアは、ビジネスサイドの知見も求められます。
業界構造や課題を知った上でヒアリングを行うことで、どの様なAI開発をするべきかが見えてきます。
そのため、AIの専門的な知識に加えて、ビジネス情報のキャッチアップも必要となります。
AIエンジニアになるためのステップ
それでは具体的にどのようにAIエンジニアになれば良いのでしょうか。
ここでは新卒・第二新卒の場合と、中途の場合に分けて解説します。
新卒・第二新卒の場合
新卒・第二新卒の場合は、情報科学や工学、理学部といった分野の学部を卒業することが一般的です。
特に大手企業でAI開発や研究職に就く場合は、修士や博士号を取得していることが条件となる場合もあります。
在学中の研究実績や学会での研究発表、AI分野におけるコンペティション等での入賞経験などがある場合は、高い評価を受け優遇されるでしょう。
AIエンジニアに興味があるなら、学生時代に実績作りに挑戦してみると良いでしょう。
中途の場合
中途の場合、AIエンジニアと近い経験を積んでいくことが求められます。
王道のルートが、ITエンジニアからの転職です。
Pythonなどのプログラミング言語やSQLなどのデータベース言語を使用していた経験があれば、そのままAIエンジニアとして業務で活用できるためです。
また、機械学習エンジニアやデータサイエンティストといったAI開発の専門職からキャリアを積むのも良いでしょう。
まずは特化した分野の知識を集中的に習得することで、AIシステムの構想〜運用に至る全段階に携わるAIエンジニアとして活躍するための大きなアドバンテージとなります。
AIエンジニアの仕事に活かせる資格
最後に、AIエンジニアが取るべき資格についてご紹介します。
未経験の場合はAIに関する関心があること、経験者であれば高いスキルを持っていることを証明しなくてはなりません。
そのため、実際にAIエンジニアとして就職・転職する前に、ぜひ挑戦してみてください。
今回、AIエンジニアの必要な能力を以下の4分類に分けています。
- プログラミングに関する知識
- 数学の知識
- 機械学習に関する知識
- データベース運用に関する知識
- ビジネスに関する知見
プログラミング編:Python3エンジニア認定実践試験
Python3エンジニア認定実践試験は、AI開発に用いられるプログラミング言語「Python」に関する試験です。
Pythonを実際に使う上で重要な仕様や標準ライブラリの使い方を問う試験となっており、AIシステム開発に必要な基礎〜応用の知識があることの証明となる資格です。
「Python3エンジニア認定基礎試験」というPythonの基礎力が身に付いているかを問う試験もあるので、業務未経験の方はこちらから取得するのもおすすめです。
数学編:統計検定
統計検定は、統計に関する知識や統計活用のリテラシーを評価する試験です。
国が後援する日本統計学会により、国際通用性のある統計活用能力の体系的な評価システムとして開発されました。
「データ分析能力」と「分析結果の適確な解釈」を行うスキルがあることの証明となるため、AIエンジニアやデータサイエンティストにとって企業やクライアントへの大きなアピールとなります。
統計検定には、4級・3級・2級・準1級・1級の5段階があり、3級までは高校数学レベル知識が問われます。
未経験の方はまず2級以上の取得に挑戦しましょう。
統計検定1級の上には、統計調査士・専門統計調査士・データサイエンス(基礎・発展・エキスパート)という5段階の資格が設定されています。
データサイエンスエキスパートは2023年3月に新設されたばかりの資格です。
すでにAIエンジニアとして働いていて更なるステップアップを目指している方は、まだ保有者が少なくライバルとの差別化ができる「データサイエンティストエキスパート」を取得しておきましょう。
機械学習編:E検定(エンジニア検定)
E資格は、ディープラーニング理論の理解とシステムへの実装能力を測る試験です。
ディープラーニングをシステムに実装する際の知識や技術力に焦点を当てた資格であるため、AIエンジニアとしての実務経験がない場合でも、この資格を保有していれば即戦力として採用されるケースもあります。
「世界初のAIエンジニア認定資格」とも呼ばれている資格ですので、ぜひ取得を目指しましょう。
データベース編:データベーススペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験は、高品質なデータベースを企画、要件定義、開発、運用、保守するためのスキルを測る試験です。
AIシステム開発に不可欠な機械学習。その機械学習において、膨大なデータを扱うために必要な知識がデータベースに関する知識です。
データベーススペシャリストの資格を取得できれば、企業活動を支える膨大なデータの管理、上質なデータベースシステムの構築、顧客ビジネスに活用できるデータ分析基盤の提供といった業務が円滑にできる知識が身についているといえます。
取得は難しいといわれる資格ですが、IT業界内でも信頼度の高い資格です。ぜひ取得を目指しましょう。
ビジネス編:G検定(ジェネラリスト検定)
ディープラーニングをはじめとしたAIに関する様々な技術的手法や、ビジネス活用のための基礎知識を有していることを証明する資格が「G検定」です。
AI・ディープラーニングを体系的に学習することができるため、AIエンジニアを目指す未経験者はもちろん、現代社会で働く全ての人にもおすすめしたい資格です。
G検定をおすすめする理由としては大きく二つあります。
- AI・ディープラーニングの基礎知識が身につく
- 日本最大のAIコミュニティに参加できる
G検定ではプログラミングやAI実装の実践的なスキルは問われず、AIエンジニアとして活躍するのに十分な資格であるとはいえません。
しかし、未経験からAIエンジニアを目指す際には、AIとディープラーニングを活用する上での基本的な知識を学び、証明できることは大きくプラスに働きます。
また、G検定の合格者は『CDLE(Community of Deep Learning Evangelists)』という日本最大のAIコミュニティに参加することができます。
急速に発展しているAI・ディープラーニングの分野において、最新技術やその実装事例などをキャッチアップできる環境はとても貴重です。
未経験からAIエンジニアを目指す方は、まずはG検定取得を目指しましょう。
最後に
以上、「Aiエンジニアになるには」を具体的なステップとともに解説してきました。
2023年現在、AIエンジニアの求人数は増加しており、システムエンジニアからAiエンジニアへキャリアチェンジする方は年々増加しています。
AIという新たなアプローチでビジネス課題解決に携わりたい、年収をアップしたい、という方はぜひAIエンジニアとしての転職を目指してみても良いのではないでしょうか。
それでは最後までお読みいただきありがとうございました!
記事に関するお問い合わせやお仕事のご依頼は こちら からお願いします。
それでは!
ーーーあなたにおすすめの記事はこちら(推奨)ーーー
【2023年最新版】フリーランスエンジニア向けおすすめエージェント7選
【2023年最新版】副業エンジニア向けおすすめ案件紹介エージェント7選